TPEマットに絶対使ってはいけない洗剤
フロアマットの洗い方の話はたいてい「手順」の話だ。この記事は「棚に並んでいる中身」の話である。ほとんどの車庫にある三種類の製品が、TPEマットやゴムマットを静かに壊していく。しかもそのうち二つは、はっきり自動車用として売られている。

1. 有機溶剤
ガソリン、テレピン油、ブレーキクリーナー、アセトン、シンナー。本当に落ちない汚れ——道路のタール、チェーングリス、テープの糊残り——が付いたときに手が伸びる。
実際よく効く。そこが問題なのだ。タールを溶かす溶剤は、タールとその下のポリマーを区別しない。TPEは熱可塑性エラストマーで、強い溶剤は触れた瞬間に表面を軟化させ、揮発する際に材料を持ち去る。その場で見えるのは、少し艶が落ちた程度の痕だ。あとから残るのは、周囲より永久に柔らかく、汚れを早く溜め込む一角である。
2. シリコン系タイヤワックス・ダッシュボード艶出し
これは緊急時ではなく、意図的に、たいていは善意で塗られる。マットが白茶けて見え、ボトルには黒さが戻ると書いてあるからだ。
ここから二つの別々の問題が起きる。一つ目は即時で、安全に関わる。シリコン系艶出しは滑る膜を残す。ダッシュボード上ならその膜は無害だ。だが右足が踏み込む面の上では、それは最も存在してはいけないものである。マットの上で滑る靴は、ペダルからも滑り得る靴だ。
二つ目はもっと遅い。スプレー式艶出しの多くは、表面になじませてすぐ飛ばすためにシリコンを溶剤に溶かしている。その溶剤がやっていることはガソリンと同じで、ただ穏やかに、回数を分けて進むだけだ。
3. 漂白剤と強力脱脂剤
塩素系漂白剤、オーブンクリーナー、ホイールクリーナー、希釈しないアルカリ性脱脂剤。これらは材料そのものではなく表面処理層を攻撃し、しかもきわめて不均一に攻撃する。落ちた場所に留まり、流れた場所を侵していくからだ。
結果として残るのはまだらなマットだ。ある部分は艶が消え、ある部分は光る。その模様は、実際に足を置く場所とはまったく無関係である。仕上げ層が筋状に剥げてしまえば、その後どれだけ洗っても均一には戻らない。
三つが実際にやっていること
TPEの柔軟性は、ポリマー中に均一に分布した可塑剤に由来する。冷えた足元でもマットが平らに寝てくれるのは、これがあるからだ。硬い樹脂板のように振る舞わないのも同じ理由である。
上記のどの製品も、この可塑剤を引き抜く。溶剤は速く、艶出しの溶剤成分はゆっくり、脱脂剤は表面で。残ったポリマーは形こそ同じだが、柔らかさの源が減っている。
症状はこの順で現れる。
- 数週間、何も起きない。この習慣が続く理由がこれだ。ボトルは効いたように見える。
- 微細なひび。たいていヒール部分と立ち上がり縁から始まる。最も屈曲する場所だからだ。
- 夏のベタつき。直感に反するが典型的である。可塑剤が不均一に抜けたマットは、暑さで乾くのではなく粘つく。暑い日に靴底を引っ張るようになったら、何を使ったか確認したほうがいい。
早見表
| 製品 | 使われる理由 | TPEに何をするか |
|---|---|---|
| ガソリン、テレピン油、ブレーキクリーナー | タールや油汚れを落とす | タールと同じ気軽さでマットも溶かす。永久的な軟化部が残る。 |
| シリコン系タイヤワックス | 色あせを戻したい | 足元に滑る膜。加えて溶剤成分によるゆるやかな可塑剤流出。 |
| 漂白剤、オーブン/ホイールクリーナー | 頑固なシミ | 仕上げ層を不均一に剥がす。まだらな外観が恒久化。 |
| 高圧洗浄機の近距離噴射 | 速さ | 化学的ではないが、縁の溶着を剥がし、水を裏地に押し込む。 |
代わりに何を使うか
フロアマットが受ける汚れのほぼすべては、ぬるま湯と中性洗剤(台所用で十分)、そして中程度の硬さのブラシで落ちる。薬剤よりブラシのほうが重要だ。砂粒は溝に噛み込んでおり、これは化学ではなく機械的な仕事である。
すすぎは徹底的に。洗って一週間後にマットが粉っぽく見えるのは、溝に洗剤が残っているからだ。乾かすときは寝かせず立てる。
頻度も含めた手順の全体はTPE・XPEマットを傷めずに洗う方法にまとめてある。
本当の例外
石鹸では落ちないものが二つある。
道路のタール。柑橘系のタールリムーバーを、可能な限り少量、マットではなく布に取って使う。拭いたら直ちにその範囲を洗剤で洗い、リムーバー自体を落とす。放置は厳禁。
乾いた融雪剤。薬剤は不要で、足せば足すほど悪化する。塩に必要なのは大量の冷水と繰り返しであって、これは別の問題・別の答えになる:融雪剤が本当に傷めるのは、乾いたあと。
もう一つ、これは清掃の問題ではない
マットが硬くなった、平らに収まらないというとき、人は反射的に「何か塗る必要がある」と考える。ほとんどの場合その必要はない。硬さの原因はたいてい保管だ。丸めて、あるいは折って置かれたマットは、その形を記憶する。詳しくはフィット感を損なわないマットの保管方法で扱っており、直すのに費用はかからない。